薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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ある日家でお茶を立てていれば襖が開き、そこにはアフロディこと亜風炉照美がいた。
アフロディと言ったら世宇子のところの選手じゃなかったか?
なんで彼がここにいる?
「美しい。」
アフロディは葵を見るなり唐突に言った。
『美人に言われても馬鹿にされてるようにしか聞こえないんだけど?』
前々から思っていたが、男の癖に女の子みたい...。
女装にノーメイクでも違和感なさそうだ。
長い金色の髪、長い睫毛に縁取られた緋色の瞳。
文句ない、まさに女の子だ。
僕っ子かと思うくらい。
ブロンド羨ましい。
「そんなつもりじゃないさ。...それより一緒に来てもらえないかな、僕のフィアンセ?」
そう言って葵の前に座った。
フィアンセ?
今こいつフィアンセと言ったか?
『誰が婚約者だよ。私承諾してないし。』
葵は眉を顰めた。
「総帥と君の家が決めた事だよ。林檎は木から落ちる。世の中には逆らえない事実というものがあるんだ。分かるでしょ?」
緋色の双眸を細め、微笑んだ。
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