薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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結局葵は家を抜け出す事が出来ずに一夜が明けてしまった。
抜け出そうかと計画していたのだが一日中付き纏われていた為、断念した。
そもそも寝る時なんて寝室の周りに人が集まっていた。
トイレに行きたいと言えば絶対一人は付いて来るし(流石に中には入って来なかった)。
逃げる隙なんてない。
当然ガン見されながら寝れるわけもなく。
気が付けば既に日が登っていた。
『殆ど寝れなかった...。』
欠伸と軽い溜め息を吐く。
どことなく体がだるい。
手を動かすのもだるい。
明日は決勝戦、日曜日とあってきっと多くの人が来るのだろう。
布団の中でぼやーっと考えていると女中の声と慌ただしい足音が聞こえて来た。
「いけませんっ!!葵様はお休みしておいでですっ!!」
朝からなんだよ鬱陶しいなぁ...なんてそばにあった時計を見ると2時。
ん?
2時...?
可笑しいな、ついにこの時計も狂ったか。
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