狂愛
□狂愛
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「僕、瞳を閉じるよ。」
アフロディはベッドの中で唐突に宣言した。
「これってあの瞬間と似てる。朝目が覚めて半分眠ってる状態の時こんな風に感じる。何もかもホントみたい。夢も現実に思える。完全に目が覚めるまでのその瞬間、全ては現実。でも目を開けて日差しを浴びたら、夢だと気付く。だから僕、目を閉じる。」
アフロディは緋色の双眸を閉じた。
『分かった。』
「うん。」
安定した心音を背中で感じた。
それが子守唄の様で、緋美も瞳を閉じた。
***
「ん、」
アフロディが目を覚ませば隣にいるハズの温もりがいなかった。
アフロディはベッドから跳び起きた。
「緋美!緋美っ!!」
血の気が引くのを感じた。
いなくなっちゃった?
嫌だ、そんなの嫌だよ!
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