狂愛
□狂愛
1ページ/3ページ
「天国か地獄か。」
アフロディの言葉に緋美は短く淡泊に返すだけ。
『そう。』
「僕の為にいる。」
いつもの緋美の口癖を唱えた。
『そうだよ。』
またアフロディの言葉に緋美は淡泊に返すだけ。
「違う、僕の為にいてくれるんじゃない、緋美がここにいるのは...僕に付き添う為。僕を迎えに来た。」
死が近いからこそ、僕には緋美の姿が見れて、匂いが分かって、触れられ、感じられるんだ。
『天国について考える時、お兄ちゃんが私の天国だった。心からお兄ちゃんを愛してる。だからお兄ちゃんの為に戻る事になると思った。お兄ちゃんこそ、私の天国なの。でも私はお兄ちゃんの地獄かもしれないね。』
皮肉だった。
「病気なんだ...僕は病気なんだ....。
それを告げる代わりに...病気を治せと知らせる代わりに君は...、最低!!自分勝手過ぎる!大嫌いだっ!!」
アフロディは大声で怒鳴った。
一心不乱に叫んだ。
その言葉はひどく緋美を傷付けた。
.