薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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何処かに連絡をとっていた瞳子監督が戻って来た。



何処かなんてきっと理事長に決まっているだろうが。



「豪炎寺君、貴方にはチームを離れてもらいます。」



唐突に言われた言葉は雷門メンバーに予想以上の大打撃を与えた。



雷門のエースストライカーの離脱なんて誰が予測した。



葵や豪炎寺本人はいつかそうなると予測はしていたとは言え、余りにも急で驚いた。



「監督、豪炎寺は雷門のエースストライカーなんです。」



皆豪炎寺がチームを離れる理由が先程の試合にあり、豪炎寺のミスが原因だと考える。



それしか思い当たる説がない。



雷門メンバーが抗議を唱える中、豪炎寺はその場から移動した。



それを葵が追う。



夕日に照らされ、壊れた奈良鹿像の影がより寂しさを象徴していた。



『挨拶なしで行く気?』



「望月...、」



俯き壊された奈良鹿像の影を見ていた豪炎寺が顔を上げる。



『サヨナラを言うのは私の方が上手いわよ。』



紫水晶の瞳と哀愁漂う漆黒の瞳が交わる。



『もっと一緒にサッカーしたかった。』



葵の言葉にはもっと一緒にいたかった、と言う意味が込められていた。



葵は視線を落とし笑う。



上手く笑えているだろうか。



君と同じものを共有したくてキャラバンに加わったのに。







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