薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
1ページ/2ページ
瞳子監督の笛により起こされる。
「起床。出発の時間よ。」
その時には葵は30分前にはメイクして準備をしっかりと整えていた。
出発する準備をし、キャラバンに乗り込んだ。
北海道まで少し時間があるから寝ても平気かな。
寝不足だし、何しろ正体を隠さなければいけないので若干昼夜逆転生活をしている。
『有人、肩かして...少し、休む。』
だから落ち着いていられるのは鬼道が傍にいる時だけだ。
葵は鬼道の返事も聞かずに肩に頭をのせた。
それを複雑そう見るマネージャー三人。
昨晩の話を聞いても、どうしても鬼道を好いているとしか思えないからだ。
だが実際は鬼道しか頼れる人間が、心を許せる人間がここにいないからである。
地元から離れるという一見開放的なこの旅は葵にとっては閉鎖的でストレスを溜めるものだった。
発散する暇なんて殆どない。
限界が来るのは目に見えていた。
それが昨日よりももっと近付いていて、先程よりももっと近付いている。
今葵にとって大切で必要なのは身近な信用できる、葵を受け入れてくれる人間なのだ。
強がっているのは、感情の起伏が激しいのは限界が近い証拠。
性的な欲求を冗談として軽く言ったりするのが葵だ。
.