狂愛

□狂愛
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妹は知識に貪欲だった。



知らない事があれば何でも僕に聞いてくる。



なんで、どうして?と。



それがなんだか小さな子供みたいで可愛かった。



"何も知らずに死ぬのはいや"。



そう言って可能ならあらゆる事を僕に頼んできた。



きっと自分でも己の死期が近付いている事に気付いているのだろう。



だからこそ僕は妹の頼みは何でも叶えてあげたいと思った。



料理したい、勉強したい、遊びたい、遊園地に行きたい、動物園に行きたい、水族館に行きたい、学校に行きたい、友達作りたい、彼氏作ってデートしたい(これは流石に止めた)。



彼氏以外の頼みは全て可能な限り実現した。



『お兄ちゃん、キスして。』



挨拶代わりのキスを妹の頬に送る。



しかし次に妹の顔を見ればなんだか不服そうな顔。



『ほっぺじゃなくて唇にして。』



一瞬妹の言葉に耳を疑った。



妹は元々常識をあまり知らない。



箱入り娘なのだ。



悪く言えば、世間知らず。



「ねぇ、緋美。唇には好きな人としか出来ないんだよ。」












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