狂愛
□狂愛
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数日後、妹は死んだ。
好きでした。
大好きでした。
愛していました。
指輪は無いけれど、彼女は確かに僕の伴侶でした。
きっと僕は一生君の事を忘れないだろう。
きっと僕は生涯君以外を愛せないだろう。
だってこんなにも恋しいもの。
だってこんなにも愛しいもの。
こんなにも...、
切ない...。
ねぇ、緋美。
君は牡丹みたいに綺麗に咲き誇っていたよ。
百花の王ではなく、百花の姫だったよ。
そして僕をその甘い香りでいつも酔わすんだ。
「生まれ変わっても、愛し続けます。」
僕はポツリと最愛の人の最期の言葉を紡ぎ、左薬指に唇を落とした。
今年も紫紅色の牡丹が咲き誇る。
百花の姫
(生まれ変わったら、共に朽ち果てよう。)
(僕は牡丹と妹に似た僕が好きだ。)
the end
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