隣の席の佐久間くん
□隣の席の佐久間くん
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『あっあの、鬼道君!』
鬼道は梓に呼ばれ、梓を見た。
「どうした、紫苑?」
梓はモジモジしながら言葉を探すように視線を泳がしていた。
『えっと...その、今日の事、謝りたくて...ごめんなさい。体、痛めてない?私思いっ切りぶつかっちゃったから...。』
申し訳なさそうに、長い睫毛が水色の瞳に影を落とす。
鬼道は梓に歩み寄った。
「....紫苑...、俺はお前が好きかもしれない...。」
鬼道の言葉に梓は顔を上げ、鬼道の顔をまじまじと見る。
『えっ?』
「紫苑が好きだ。」
梓はストレートに出された言葉に顔を赤くした。
どうしようどうしよう、どうやって断ればいいの...?
梓が顔を赤くさせながらどうしようか迷っていると鬼道が口を開いた。
「俺じゃないんだよな、紫苑の理想は。」
『え?』
「紫苑が好きなのは佐久間なんだろう?」
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