薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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『有人。』
赤いマントを見つけ、名前を呼んだ。
「来てたのか、葵。」
鬼道は着物姿の葵を見て少し驚いた。
『影山さんにお茶をね。
どうだった?この間の試合。』
「データは取れた。問題ない。」
鬼道の言葉に葵は短くそう、とだけ返した。
会話から佐久間は葵を帝国側の人間だと判断し、警戒を少し解く。
「お前は帝国のスパイなのか?」
佐久間が口を開いた。
『やだなぁ、佐久間君。私はスパイなんかじゃないわ。』
失礼ね、と葵は言葉を続けた。
葵の言葉に佐久間は露骨な敵対心を見せた。
「雷門のスパイか!?」
橙色の瞳が葵を睨む。
『だからスパイじゃないって言ってるでしょう?』
葵の呆れたような態度が佐久間には馬鹿にされたように感じた。
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