隣の席の佐久間くん
□隣の席の佐久間くん
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梓は自分の携帯に登録されてあるはずのない名前を見て、その名前の持ち主である目の前の人物を見た。
『えっと...、』
梓が言葉を続ける前に佐久間が口を開いた。
「俺のケー番とメアド。好きな時にメールして構わねーから。授業中メールするならサイレントにしておけよ。」
佐久間は梓から視線を外しながら言う。
照れているんだと直ぐに分かった。
でも彼以上に梓の方が照れていた。
凄く嬉しい。
梓は携帯を握りなおした。
私なんかにメアドとか教えていいの?
...私、自惚れちゃうよ?
毎日メールしちゃうかもよ?
なんて思っても口に出したりしない。
『ありがとう。後で、メールするね。』
梓は頬に朱を滲ませ、はにかむ様に笑みを浮かべた。
「ああ。」
佐久間も小さく笑みを浮かべた。
強引なペンギン
(あるはずのない名に、)
(歓喜する。)
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