隣の席の佐久間くん
□隣の席の佐久間くん
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「紫苑は、俺の隣だ。」
指された席は鬼道の隣で佐久間の前。
鬼道の隣は慣れてきたが、教室の席よりも近いので緊張する。
元隣の席だった佐久間だが、真っ正面で向き合うと言うのはまた緊張するものだ。
それぞれが勉強道具を広げ、教科書やノートとにらめっこしている。
勉強会は予想していたよりか静かだったが、時々勉強とは無関係な話題が出て来る。
いつも勉強会をやるときはこうなのだろうか?
「どうした、紫苑?便所か?」
ソワソワしている梓を見かねた源田が言った。
「デリカシーがないな、源田。便所じゃなくて御手洗いだ。場所は部屋を出て左の突き当たりの手前右側だ。」
鬼道は訂正を加え、淡々と場所を説明した。
別に御手洗いに行きたい訳ではないが、教え貰えるなら聞いといて損はない。
『えと、私別に御手洗いに行きたい訳じゃ...ただ、男の子の部屋とかの初めてだから緊張しちゃって...。』
梓は頬を赤く染め、恥ずかしそうに視線を落とした。
初々しい梓の反応にかわいいなんて思ってしまう。
男はみんなKYなのか?
(どこ行くんだ?紫苑?)
(空気を読め、源田。女性が黙って席を立つのは御手洗いだ。)
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