刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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ある日の夜、またいつものように殺しをした。


仕方がない事だ。


これも彼を守るため。


私が守らないと簡単に命を落としてしまいそうな程危うい命。


涙はいつものように殺し屋の人間を殺そうと待っていた。


一人のスーツを着た短髪の男が涙を背後から襲った。


だが直前に物音に気付いた涙は振り返り攻撃を男の手首を掴むことで受け止めた。


しかし男女の力の差が厳しかった。


涙は短髪の男が持っていた2本の短剣の内の1本を奪い取った。


首に刺さりそうだった短剣を持った短髪の男の腕が腹部にに刺さりそうだった。


涙は短髪の男の腹に膝蹴りを食らわせ、捕まれていた右手を解放させた。


短髪の男と一度距離を取り、男と睨み合う。


短髪の男がこちらに近付いたのを見計らい、涙は縦に短刀を振るった。


短髪の男は後方を下がり、涙の攻撃を避けた。


再び涙は短髪の男と睨み合った。


やはりいつもの武器が一番使いやすい。


涙はくるりと手の中で短剣を回転させ、持ち方を変えた。


短髪の男に向かって刺すように短刀を降り下ろした。


しかしそこは手首を手のひらで受け止められ、短刀が短髪の男に届くことはなかった。


男が持つ短刀が涙の首を狙い、涙の持つ短刀が男の首を狙い、今にも互いに命を落としてしまいそうだった。


涙の後ろから一人の男が襲い掛かろうとしていた。


涙はもう一人の男気配に気付き、もう一人の姿を確認した。


だが怯まない。


もう一人の男が同じ短剣を握り、涙を刺そうと走り出した。


涙は体を捻り、避けたが、服に穴が開いてしまった。


ちょうど服に短剣が引っ掛かったのを狙い、涙は右手に持っていた短剣を離した。


重力によって落下してきた短剣を涙は左手で掴み、目の前の男の腹に突き刺した。


それはほんの一瞬の出来事だった。


目の前の男が絶命し、地面に身体を横たえた。


服にから短剣が抜けると同時に振り返り様に短剣を振るった。



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