刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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それはすぐ後ろの男の胸に突き刺さった。


シャツに赤く血が広がっていた。


鈍い音を立て、男は地に伏した。


涙は男から自分の衣服に自然を移動させた。


「あーあ、お気に入りだったのにな...」


涙は残念そうに言葉を漏らし、男が死んだのを確認した。


背後で聞こえた物音にまたかと短剣を握り直し振り返った。


そこにいた人物は涙に襲い掛かる事はなく。


しかし涙は喫驚し、困惑した。


「ゆ、有人...、」


「これはどういう事だ、涙...」


鬼道は自分の敷地内に倒れている男達を見て言った。


涙は瞬間的に鬼道が死体をみる前に透明マントで死体を隠しさりたいと思った。


そんなことは無意味な現実逃避なのだが。


「これはその...、」


言い訳の言葉も見つからない。


「何故言わなかった!?殺し屋はやめたのではなかったのか!?」


何故言わなかったか?


そんなの言えるわけがない。


言えれば世の中殺人犯はちゃんと自主するだろう。


「言ったら貴方は怒るでしょ!?」


「もう怒っている!」


言い返して言い返されるの繰り返し。


「...っ、何も知らないクセに、」


「お前が何も答えないからだ!」


「っ、貴方を殺そうとしてたから殺した!!」


涙は涙を浮かべながら叫んだ。






心を乱すのは貴方だけ



(この衝動を殺してよ。)


(この熱を冷たい唇で冷まして。)







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