刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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「有人、彼女に近付くな」


涙は鬼道と魅麗の間に立って言った。


客観的に見れば泪が鬼道に嫉妬しているように見えるし、聞こえるが、実際は自分の両親を殺した魅麗に鬼道が近付くのが嫌だからだ故だからだ。


いつも涙は熱い視線を魅麗に送っていた(実際は憎くて憎くて仕方がなくて見ているのだが)。


目が合えば直ぐに反らす姿を何人ものクラスメイトが見てるし、それを憎しみだなんて誰も思わない。


「話がある」


スタンガンを押し付けてやったのにも関わらず鬼道は平然と涙に話し掛けてきた。


スタンガン押し付けたのは水に流すらしい。


「分かった」


涙は短く了承すると鬼道の後についていった。


場所を移動し、また鬼道と二人きり。


「何かしたらまたスタンガン押し付けるよ」


「何かって何だ」


そりゃあ、と言葉を発したはいいが、続きがなかなか言えない。


「とにかく!何もしないで」


涙はフイッと視線だけ反らした。


「...お前、いつから女に乗り換えたんだ」


女に乗り換えたとはどういう意味だ。


涙は鬼道に視線を戻した。


「私元から男嫌いなの。乗り換えるとか何のこと?」


「さっきの発言で皆お前が岩瀬を好きだと思ったはずだ」


さっきの発言、意外と自分もしゃべっているようでどの事について言っているのか分からなかった。





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