刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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「彼女に近付くな...独占欲の強い奴に見えた」
「有人とどっちが強いかね?」
涙は冗談めかしてフッと笑った。
「試してみるか?」
「スタンガン押し付けられたいの?」
「遠慮する。...ところでお前は何部に入るんだ?」
鬼道は唐突に話を変えてきた。
「部活?やんないよ。得にならないし」
「サッカー部に入らないか?」
あれ、と涙は思う。
私の話は無視ですか。
それとも補聴器つけ忘れたのか。
「ねぇ、人の話聞いてた?聞いてなかったよね?」
「俺はマネージャーでも構わないが」
「入らないって言ってるのが理解出来ないの?それともバカなの?死ぬの?」
涙は眉間にシワを寄せ、まるで老人を軽蔑するような目で鬼道を見る。
そして少し言い過ぎたと後悔する。
「なんでそんな固執するの?」
「いつも傍にいてほしいからだ」
その言葉にトクン、と心臓が強く脈打つ。
まるで恋人に言うそれと同じように感じた自分に苛立つ。
そんな事許されると思っているのか。
私は事実前の学校をやめた訳じゃない。
ただ休んでるだけ。
私は首に鎖をかけられたまま。
鎖から解放されるまで私は許されない。
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