刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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涙は入部届にサッカー部と書き、括弧にマネージャーと付け加えておいた。


それを校長室に行って提出しておいた。


校長先生は涙のマネージャーと言う単語に一瞬不思議そうな顔したが、直ぐに納得したような顔をし、悲しい顔をした。


「そんな顔しないでください、先生」


涙は慰めに近い言葉を言い、校長室を出た。


嘘を吐いている罪悪感なんて持ち合わせる程涙は人道的ではない。


殺し屋がいちいちそんな事で罪悪感を持ってたらきりがない。


放課後になれば席を立った鬼道がバンダナの彼(あ、そう言えば円堂守と名乗っていたっけ?)に少し遅れると言って涙の傍に来た。


「泪」


初めて呼ばれた。


「分かってるよ。でも言っておくどやり方なんて知らないから」


「かまわない、春奈に教わればいい」


涙は小さく頷き、鬼道とサッカー部に向かった。


サッカー部の部室に行けば、グラウンドの方から声が聞こえてくる。


「あれがサッカー部の部室だ」


涙は鬼道の視線の先にあるサッカー部の部室を見た。


木製の部室。


かなり古そうだ。


「台風が来たら潰れちゃいそうだね」


「数十年前イナズマイレブンと呼ばれたチームの名残でそのままにしてあるらしい。まぁそれもエイリア学園によって一度壊されてしまったがな」


つまりあの部室は治したものということだ。


しかし鬼道の説明など涙にとってはどうでも良かった。


「今の部室はこっちだ」


涙は鬼道の視線を追い、目をやった。


先程の木製の部室と比べるとだいぶ新しい。


しかしサッカー部という立て札だけはかなり古い。


鬼道はが部室に入り、涙も中に入った。


部室の中も外装の通り新しそうだ。


壁にはサッカーのポスター、棚にはファイルなどがあるがサッカーの事だろうとしか分からなかった。


「サッカー好き?」


涙が鬼道を見れば、こちらに向いた鬼道とちょうど目が合う(ゴーグルの所為でよく見えないが、多分目が合ったんだと思う)。


「ああ、好きだ」


好きだとはっきり言われ、それが一種の告白のようで、そんな事考えた自分に恥ずかしくもなってしまい、頬が熱くなる。







認める心



(まだ認められない。)


(認めれば楽になれるのに。)








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