刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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「涙君、みんなに嫌われて今どんな気分?」
ふふふ、と魅麗は笑みを浮かべていた。
「すごく不愉快だね」
君の存在が、と心の中で付け足しておく。
涙の返答に機嫌をよくした魅麗は更に笑みを深めた。
この笑みを見て思った。
「もう終わりにしたい」
もうコイツに関わるのは嫌だ、面倒とさえ思った。
ならいっその事、殺してしまえばいいじゃないか。
元々殺すつもりだったが、絶望を味あわせたいが為に、こうやって回りくどい事をしていたのだが。
それももうおしまいにしよう。
「じゃあ魅麗と付き合って?」
まだ言うか。
「君って人を見る目がないよね。僕と付き合ったって幸せにはなれないよ」
女を好きになるなんて...いや、それは個人の自由か。
殺した人間の子供を好きになるなんてバカだよね。
どう殺してやろうか。
「幸せになるかどうかは付き合ってみないとわからないもん!」
「いや、絶対幸せにはなれないよ」
涙は器用にドリンクのボトルと粉を持ち、魅麗を部室に残して出た。
部室のドアの横には雷門がいて。
涙はドアを閉め、言った。
「そこで何してるの?」
「嘘を吐いてなかったのね」
雷門は壁から背を離し、涙に向かって立った。
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