刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
2ページ/3ページ





「涙君、みんなに嫌われて今どんな気分?」


ふふふ、と魅麗は笑みを浮かべていた。


「すごく不愉快だね」


君の存在が、と心の中で付け足しておく。


涙の返答に機嫌をよくした魅麗は更に笑みを深めた。


この笑みを見て思った。


「もう終わりにしたい」


もうコイツに関わるのは嫌だ、面倒とさえ思った。


ならいっその事、殺してしまえばいいじゃないか。


元々殺すつもりだったが、絶望を味あわせたいが為に、こうやって回りくどい事をしていたのだが。


それももうおしまいにしよう。


「じゃあ魅麗と付き合って?」


まだ言うか。


「君って人を見る目がないよね。僕と付き合ったって幸せにはなれないよ」


女を好きになるなんて...いや、それは個人の自由か。


殺した人間の子供を好きになるなんてバカだよね。


どう殺してやろうか。


「幸せになるかどうかは付き合ってみないとわからないもん!」


「いや、絶対幸せにはなれないよ」


涙は器用にドリンクのボトルと粉を持ち、魅麗を部室に残して出た。


部室のドアの横には雷門がいて。


涙はドアを閉め、言った。


「そこで何してるの?」


「嘘を吐いてなかったのね」


雷門は壁から背を離し、涙に向かって立った。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ