刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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涙は授業が終わると鞄を持ち、屋上に向かった。


昼食をとるためだ。


ドアを開けて誰も居ないのを確認し、給水タンクのある少し高い所に登り、昼食を広げた。


暫くすれば数人の生徒が屋上にきた。


見知った顔がいる。


涙の予測通りだ。


屋上が解放となっていれば誰かしら来ると分かっていた。


だからわざわざ見付かりにくい貯水タンクの陰にいるのだが。


涙は無言で音を立てないように食事していた。


「あいつよく学校に来れるよな」


あいつと代名詞だろうと直ぐに自分の事だと分かった。


「大体あいつなんでサッカー部にまだいるんだよ」


「フツー責任持ってやめるだろ」


どうやら私はすっかり敵視されているらしい。


これが所謂陰口というやつだろうか?


「みんな!佐倉君をそんな悪く言っちゃだめだよぅ!」


それをお前が言うか岩瀬魅麗。


「岩瀬は優しすぎるんだ」


バカなクソガキ共め、騙されてるんだよお前らは。


しかし今ここから出て言うことではない。


愚痴(それも自分のだ)を聞きながらの食事は非常に美味しくない。


やっぱりこれからは校長室で食べることに決めた。


それか理事長室で。


涙はそれを心に決めた。


午後の授業はさっきの愚痴の所為で気が向かなかったのでサボる事を決定した。


授業をサボるなんて初めてだ。


基本的に授業に出ない理由は仕事だったり、本当に体調が悪いときだけだったから。


サボりと言うのは一度でいいからやってみたかった。




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