刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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「そりゃサッカー部なんだからサッカーに決まってんだろ」
ああ、今すぐ計画のパターンか。
「それはフェアじゃないな。君は現役サッカー部。僕はサッカーボールなんかに触れたのはいつだか有人にぶつけられた時のその一度だけだ」
その一度とは涙が鬼道を暗殺しようとした時に何処から狙うかバレた時だ。
涙はちらりと鬼道を見た。
鬼道は特に表情を変えずにいた。
「負けるのが怖ェのか」
染岡が挑発してきた。
きっと染岡は自分の挑発で涙を乗せられると思っているのだ。
「勝てると確信している相手にしか挑めない程弱いの?」
逆に挑発し返してやった。
染岡は涙を睨んだ。
やはり涙の方が上手なのだ。
だが涙には自己中で自意識過剰な自信に近いもの、自惚れを感じていた。
それは涙を勝負をするという選択肢を与えた。
遊びがなくてはつまらないという余裕、敗北しても悔しがるリスクがないのだ。
涙はふっと力を抜いた。
「いいよ、勝負してあげるよ」
これまた上から目線の言葉。
「言っておくけど僕のサッカーの知識はGK以外手でボールを触っちゃいけない程度だから」
涙はグラウンドに入り、染岡が来るのを待つ。
挑発返し
(何事も余裕がなくっちゃ)
(楽しくないでしょ?)
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