刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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「多少はね」
涙は適当に誤魔化し、グラウンドから出て、ベンチに座った。
その隣に雷門はさも当たり前のように座った。
「あの、雷門さん...?」
「何かしら?」
しれっとしたような、凛とした態度。
「態々僕の隣に座らなくても...」
涙が控えめに言えば。
「貴方は私が見てないとすぐに無理をするからね」
まるで監視役の様な返答が返ってきた。
「大丈夫だよ、もうやらないから」
そうは言うも雷門の心配事がなくなるわけではなかった。
涙の言葉は真に受けてもらえなかったのだ。
「それにしても速いな」
すぐ近くで聞こえた声に視線を雷門から声の方にやれば確か同じクラスでもあった風丸がいて。
多分褒められているのだろう。
「あ、ありがとう」
涙は一瞬驚き、戸惑った。
貶される事はあっても褒められるのは初めてだったからだ。
こうも素直に褒められると何か裏があるのではと猜疑心が無駄に働くものだからつい素っ気なくなってしまう。
そこは許してほしい。
デュエロ
(イタリア語で、)
(意味は決闘。)
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