刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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下駄箱の中を見れば折り畳まれたルーズリーフが入っていた。


「何だそれは?」


横から紙を覗き込む鬼道。


中身を見れば乱暴な字で校舎裏に来いと書いてあった。


「随分雑なラブレターだね。モテ期とぅらいってやつ?」


「とぅらいってなんだ?」


「到来と辛いを重ねた新手の同音異義語」


涙は紙を適当に他の生徒の下駄箱に突っ込んだ。


隣の鬼道がそれは不味いんじゃ、なんて顔をしているが気にしない。


しかし手紙の相手は誰だろうか?


だが問題はそこじゃない。


時間が指定されてないことだ。


まぁいっか。


涙は諦め、鬼道と教室に向かった。


昼休みには見慣れない生徒(涙には殆んどが見慣れない生徒なのだが)が教室のドアの所にいて。


見た感じ、とても鍛えていそうだ。


「このクラスに佐倉泪はいるか?」


誰だろうか。


涙は首だけ向け見ていれば、直ぐにクラスの注目を浴び、涙の居場所がバレてしまった。


仕方なく立ち上がり、ドアの所にいる男子生徒の元へ。


「何で指定の場所に来なかった?」


「失礼ですかどちら様?」


失礼なんて思ってもいないが。


「3年ラグビー部キャプテン、」


名前を名乗ろうとする先輩の言葉をワザと遮り、涙は口を開いた。


「その先輩が僕に何の用ですか?」


「...校舎裏に来いという紙を下駄箱に入れたはずだが」


記憶を辿れば確かにそんな紙を見た覚えがある。


結局紙は他の人の所に入れたのだが。


成る程、彼の仕業か。



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