刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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だが私は生憎他の人の所に入れた上、見なかったと言い訳できる。
仮にその言い訳が出来なくても時間が書いてなかったと言えば正当だ。
ああ、正当でいけばいいじゃないか。
「...ああ、時間が指定されてなかったから昼食を食べたらにしようかと思ってたんですよ。せっかくお迎えまで来ていただいているようですし、なんなら今からでも...?」
「ああ、是非そうして貰おうか」
そうして涙とそのラグビー部の彼は共に教室から出ていった。
手紙通りの場所、裏校舎に行けばいきなり突き飛ばされる。
流石ラグビー部キャプテンなだけある。
すごいパワーだ。
お陰で手を擦りむいた。
「岩瀬を襲ったって聞いたぜ」
まるで品定めするかのように見下ろされる。
非常に不愉快だ。
「お前は岩瀬に相応しくない」
自信たっぷりに言われた言葉。
相応しいかどうかは彼が決めることではないということに彼は気付いているのだろうか。
いや、気付いていないのだろう。
「それはセンパイが決めることではないですよ」
その言葉が癪に障ったらしく、彼は怒りの表情を浮かべた。
図星らしく、彼は涙に掴み掛かり、拳を握った。
涙も負けじと彼の制服を掴むフリして嫌がらせに手に付いた土を制服に擦り付けてやった。
「殴りたいなら並んでください、順番待ちですよ。まぁ、内申書がどうなるか知ったこっちゃないですがね」
涙は事務的に言うと彼は手を放した。
「二度と岩瀬に近付くんじゃねぇ」
最後に捨て台詞を吐き、彼は立ち去った。
ちょっとカッコつけて言ったらしいが、制服に付いた手形の所為でなんとも間抜けな姿になってしまった。
暴力的ラブレター
(言い換えれば、)
(呼び出し。)
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