刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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涙はお昼になれば荷物を持ち、校長室に向かった。
ドアをノックし、ドアを開こうとした。
「失礼しま...」
ドアが開かない。
ひたすらガチャガチャ鳴るだけだ。
「失礼したいぃぃい...!」
諦め悪くガチャガチャドアノブを捻るがやはり開かない。
音を聞いていれば段々ガチャガチャ虫を思い出して笑えてきた。
仕方なく涙は理事長室に向かった。
「失礼しまーす」
あ、こっちは空いた。
中には理事長がちゃんといて、丁度食事中らしい。
「ご一緒してもいいですか?」
理事長は少し驚いた顔をしていた。
「昨日は目の前で悪口聞かされながら食べましたからね。辛かったですよ。一人で食べれるところトイレ以外なくてですね...。雨の日なら屋上の入り口で食べれるんですがね?校長室にしようか迷ったんですが行ったらドアが開いてないので来ちゃいました」
テヘペロ☆なんてね。
自分でもキャラだとか色々問題あるような気がするので心の中で留めておく。
理事長の許可など気にせずに涙は図々しく理事長室に入り、ソファーに座って弁当を広げた。
「そういう訳なんでこれから宜しくです」
涙は小さく頭を下げた。
それから涙はお昼になる度理事長室に来ては昼食を取っていた。
こうして涙の昼食は理事長室と習慣化し、それを知るのは当人達だけとなった。
そんなある日涙は鬼道に問われた。
「どこで食事しているんだ?」
「なに?そんなに僕が気になるの?」
涙は横目で鬼道を見た。
「ああ、気になる」
しれっと恥ずかしげもなく言うものだから逆にこっちが恥ずかしくなる。
「...理事長と食べてる」
は?と鬼道から間抜けな声が漏れた。
「だから理事長と理事長室で食べてる」
理事長と昼食デート
(昼食くらい一緒に食ってやる。)
(食後のデザートは勿論お前だ。)
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