刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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鬼道有人は自分の背後2、3メートルの所に刺さっているナイフを手に取り、涙が置いていったライフルを見た。
「これを置いていっていいのか?」
鬼道は考えた。
これは、自分が預かっておくべきだろうと。
彼は涙が置いていったライフルを片付け始めた。
鬼道にとってライフルという武器に触れるのは初めてだった。
恐る恐るライフルに触れる。
これで今まで何人の命を奪ったのだろうか?
そう思うと恐ろしくなった。
それと同時に侮蔑の気持ちが湧き上がった。
一瞬壊そうかと考えたが、他人の物を勝手に壊すのは器物損害になるから止めた。
それ以前に彼女は銃刀法違反なのだが。
ゆっくりとライフル分解していく。
傍にあったバックに入るくらいに分解し、ナイフと拳銃を一緒にバックに詰め込む。
そしてバックを肩に掛け、傍に落ちてるボールを自分のバックに詰め込み、その場を離れた。
いつも通りに自分の家に入る。
そしてそのまま二階にある自室に向かう。
バックを下ろし、やっと息を吐く。
バレてない、不自然じゃなかった筈。
「悪い事、なのか...?」
ポツリと呟いた。
脳裏に浮かぶ茜色の髪に空色の瞳。
人殺しとは思えない、澄んだ瞳が印象的だった。
印象的
(脳裏に浮かぶ彼女が、)
(忘れられない。)
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