刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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「ただお前が欲しい」


その言葉と同時に合わさる唇。


「...んっ、」


涙は目を見開いた。


薄くて冷たいく、柔らかい唇。


涙は恥ずかしさにギュッと目を閉じた。


キスの仕方なんて知らないし、した事など一度として無かった。


勿論異性から求められる事もない。


涙は鬼道から逃れようと試みるが逃れられない。


このままでは窒息死してしまいそうだ。


やっと解放された唇が奏でたのはひどく暴力的な言葉だった。


「殺す。絶対殺す。確実に殺す。めらっと殺す」


「この状況でか?」


問われた言葉に言葉に詰まる。


こうやって正論を並べ立てて反抗出来ないように言っていると涙は分かっていた。


涙はさらりと話を変えた。


「ねぇ、知ってる?男が女を口説く時それは性的欲求が溜まっている証拠だと」


涙筈だ鬼道に話しかけながら太股のホルダーにあるものに手を伸ばす。


触れたのはナイフだった。


「だから何だ」


鬼道には勿論気付かれないようにだ。


「シたいの?」


涙はナイフをゆっくりと抜き取った。


「誘っているのか?」


鬼道がそういうと同時にナイフを突き立てる。


「あり得ないから」


スッと鬼道の首筋に切れ目が入った。






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