刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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あれからターゲットである鬼道有人に体を奪われた。


勿論私は同意なんてしてない。


もうお嫁に行けないだとか責任とれだとか乙女チックな言葉を言う気(勇気)はない。


感じた事のない屈辱と痛みと快感。


そして残るのは虚しさ。


「最低最悪」


涙は渇いた喉で自嘲した。


それが自分に向けてか、鬼道に向けてかそれとも性行為自体に向けてなのか。


「初めてか」


生娘に問うように言われた言葉に今更と腹が立った。


「だったら何?言っとくけどこれ犯罪だから。強姦だからね」


涙は不機嫌なのを隠そうともせずに鬼道に言う。


「殺人未遂と比べたらどうだ」


「私はあくまでも未遂だから」


「ああ、俺達は最後までヤったからな」


まるで気にしていないと言うように言われた事に腹が立った。


先程の行為に意味などないなどと言わせない。


「次なんか言ったら真面目に殺すから」


涙は怒りを孕んだ空色の双眸で鬼道を睨んだ。


「お前はふざけて殺しをするのか?」


「その減らず口を閉じて」


突き放すように冷たく言う。


「ならお前が塞げばいいだろう」


そう言って鬼道は涙に唇を寄せた。


涙はフイッと首を回し、己の唇を守った。


ちゅ、と耳の近くで音がし、頬には柔らかい感触。


「俺が嫌いか?」


「嫌い」






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