刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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「香は両親と一週間フランスに行くから早く帰ったよ!」


刹那はわざと明るい声で言った。


「やっぱり寂しい?」


「まぁ寂しくないって言ったら嘘になるけど、お土産買ってきて貰うから平気だよ」


刹那はニコニコと笑みを浮かべていた。


「涙ちゃん先輩の分も香に頼もうか?」


いたずらっ子の様に口角を上げて笑う姿に健気で純潔で優しい子だなぁ、なんて思った。


「ううん、私はいいよ。なんか悪いし...」


涙は控え目に遠慮した。


「そう?でもきっと香は気にしないよ?」


刹那はキョトンとした顔をしてから、ニコッと笑った。


「でもそうやって優しさに甘えるのはなんだかつけこむみたいで嫌だから...」


涙は言った後にこの言い方はよくないと思ったが、一度音になった音は戻って来ない。


涙は刹那の顔色を窺うように控え目に視線を送った。


「涙ちゃん先輩って律儀だね!僕様ちゃんそういうところ好きだよ」


刹那は気を悪くした様子を見せずに笑った。


あ、こういうのが花が綻ぶような笑みって言うんだ、と涙は思った。


「あ、別に恋愛的意味じゃないからね!」


慌てて言葉を付け足す姿が可愛いなぁ、と思った。


勿論私も恋愛的意味じゃない。


「じゃ、僕様ちゃんこっちだから!また来週ね!」


「うん、また来週!」


そこで刹那と涙は別れた。


「来週、か...」


来週には鬼道有人を殺していなければならない。


つまり今日入れてあと3日以内に鬼道有人を殺さなければならない。







死のカウントダウン



(彼を誘う。)


(彼を刺そう。)








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