刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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涙は今までの失敗の原因が何かと探った。
しかしそういうものはなかなか気付けない物だ。
という事で、涙は直接聞くことにした。
勿論殺しの時の服装ではなく私服だ。
持ち物にナイフや銃はいらない。
いるのは携帯とお金と催涙スプレーにスタンガン、その他諸々。
いつもゴーグルしてる彼に催涙スプレーが効果ないなと、家を出てから気付いた。
まぁ、スタンガンがあるからいいか。
真っ正面から直接この家の門の前に立つのは初めてだ。
インターフォンを押せば女性の声。
「どちら様ですか?」
私というものがありながら女を連れ込んでいるのか、と思うも普通に考えてメイドさんだろう。
どちら様かなんて言う気はない。
「あ、鬼道君...鬼道有人君いますか?」
鬼道君、と言ってもお父さんの方に用があるわけではない。
君付けなんだからそう思われる可能性は低いが。
「申し訳ありませんが有人様の所在を申し上げる事は出来ません」
彼女の言葉に涙は鬼道がここにいないと感じ取った。
「そうですか、では失礼します」
涙は機械的に言うと家の前から移動した。
家以外で鬼道有人がいる場所なんて簡単に検討が付く。
雷門中に行けば予測通り、居た。
揺れるマントを見ながらあんなのは風の抵抗を受けて邪魔になるだけだとかお節介な事を考えながら鬼道有人を目で追う。
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