刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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鬼道は私に気付いた理由を教えてはくれなかった。
だけど気付いた事はいつも私が不意打ちをしようとして失敗すること。
今回は堂々と鬼道に話を聞こうとして成功した。
要は隠れなければいい。
堂々としていればいいのだ。
そうすれば不意を打てる。
必要なのは拳銃一つ。
涙は鬼道の家に来た。
ああ、あと12分以内に殺さなきゃ任務失敗だ。
早くしなければ。
勿論門から堂々と入ったりしない。
顔を見られる訳にはいかないし今は夜中だ。
皆寝静まっているだろう。
涙は鬼道の部屋の窓を小さく叩いた。
早く早く早く、とだんだん叩く力が強くなる。
部屋の電気が付き、カーテンにシルエットが映る。
カーテンが開き、向こう側の鬼道が一瞬目を見開き直ぐに呆れたような顔をした。
窓が空いた。
涙は部屋の中に入った。
あと10分。
「お前は何がしたいんだ」
鬼道は呆れた声で言った。
暗闇に慣れた目には急な光は辛い。
「夜這いなんてどう?一発イっとく?」
涙は冗談めかして言うと、鬼道にゆっくりと銃口を向けた。
こんどこそとちゃんと殺せるように狙いは頭だ。
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