刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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「お前も俺が好きだろう?」
認めたくない。
好きなんかじゃない。
誰が好き好んで自分をレイプした奴を好きになる?
少なくともそんなのはあり得ない、認めるものか。
頭の中では拒絶しようと心にすんなりと受け入れている言葉を妙に心地いいと感じた。
だが同時に心に落ちときた言葉を受け入れている自分に吐き気がする。
そして時間が来る。
同時にパンッと渇いた音。
傾く鬼道の身体。
12時調度、携帯のイルミネーションが光る。
タイムリミットを過ぎた。
床が鈍い悲鳴を上げて、震動を涙の足の裏に伝えた。
瞬間何故か涙は安心した。
「もっと早くに殺しておくべきだった」
涙は小さく呟いた。
頬を伝う涙。
知りたくなかった
(もっと早くに殺しておくべきだった。)
(そうすれば恋なんてしなかったのに。)
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