刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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鬼道は何故涙がスピーカーモードに変えたか分からなかったが、自分を殺そうとしている人間を定める為、黙っていた。
「すみません、殺し損ないました」
感情を込めずに涙は言った。
『何だとっ!?貴様はガキ一人殺せぬのか!?死色の紅桜の名も聞いて呆れる!!』
余りの声の大きさに音が割れる。
涙は音量を下げた。
その後にも永遠と罵声が飛ぶ。
『もう貴様など必要ない!!』
その言葉が放たれると同時にプツリと電話が切れる。
涙は電源ボタンを押した。
急に部屋が静まり返った。
涙はゆっくりと口を開いた。
「私が貴方の命を狙う理由はなくなった」
空色の瞳を伏せ、言った。
鬼道は涙の隣にしゃがみ込み、口を開いた。
「何故俺に通話内容を聞かせた?」
「私が貴方を殺す理由がなくなったから。殺人未遂だけど、任務失敗した挙げ句警察に捕まるなんて御免だから。そして私が殺す意志が無いことを貴方に証明する為よ」
涙は鬼道に意志を伝える必要があった。
警察につかまるなんてごめんだ。
捕まったら、死刑になるか、終身刑。
死刑ならまだしも終身刑は絶対嫌だ。
それに、私の所為で学校の名前に傷を付けるような事は避けたい。
引けない
(引き金も、)
(この想いも。)
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