刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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男性恐怖症になっても尚、涙が平気でいられるのは彼との仲が昔からの信頼との結果なのか、彼が男の娘だからか。
アステリスクには女装趣味がある。
会うときは大抵女装だし。
「アンタが予約なしなんて珍しいんじゃないか?」
女装してても男口調だ。
それは涙が彼を男だと知っているからである。
「こいつが私のクライアントを殺そうとしてたからね」
「闇の申し子がついに愛に目覚めたかぁ...」
闇の申し子?と涙は復唱すればお前の事さと返ってくる。
「私のどこが闇の申し子なの?大体愛に目覚めたんじゃなくて、私は報酬を貰えなくなったら困るからそいつを殺したの」
涙は気分悪そうに顔をしかめた。
「それじゃあ、アンタただの殺人鬼になったのか?」
アステリスクの言葉に涙は顔を険しくさせた。
アステリスクが涙を見れば、涙は睨んでいた。
「そんな怖い顔しなさんなって。カワイイ顔が台無しだぜ?」
「おべっかも冗談もいらない。私が殺人鬼?」
お世辞でもないんだけどなぁ...とアステリスクは髪をくしゃりと乱した。
そんな彼の呟きは涙の耳には届いておらず。
涙は言葉を続けた。
「殺人鬼は理由なく人を殺す。私のは理由ある殺しだよ」
涙は始末屋の彼をみた(涙は睨んでるつもりだが彼には涙の殺気のこもらない睨みなど睨みとは呼べず、ただ見ていると言うしか表現出来なかった)。
闇の申し子と星
(闇の申し子なんて冗談じゃない。)
(ましてや愛なんて...。)
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