薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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ある日、俺は彼女を見かけた。
柔らかそうな蒼銀の髪が光に当たって綺麗だと思った。
彼女を見ていれば、視線に気付いた彼女がこちらを向いた。
目が合った。
彼女は深い紫水晶の瞳を細め、ニコリと微笑んだ。
他人行儀や社交辞令だと分かっててもドキリとした。
俺は小さくお辞儀だけ返した。
心臓が五月蝿い。
「豪炎寺!」
後ろから名前を呼ばれ、再びドキリとした。
しかし、それは彼女の微笑みを見た時とは違う。
ゆっくりと振り返えれば円堂がいた。
転入初日からサッカー部にしつこく誘ってくるやつ。
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