薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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『私男なら誰でもいいっ訳じゃないんだけど。それだったら私直人に惚れてるし。』
事実私は直人に惚れていた。
惚れていた。
過去形だ。
直人は私が男だと分かっていても無視したりしないし、優しくしてくれるし。
しょっちゅう毒吐くけど。
それでも信用出来ると私は考えている。
私は過去直人に告白した。
当然振られたけど。
直人曰わく、一番傍にいるからこそ、それを恋心なんて勘違いしてるんじゃねぇか?
だけど勘違いと思ってしまえばそれまでだ。
「言い訳は見苦しいぞ。」
直人のサファイア色の瞳が葵を呆れたように見た。
『でもさ、私、彼が好きなんだと思う。』
「えー、会長好きな人いたんですかぁ?紗英妬いちゃう〜!」
冗談混じりに言ったのは書記の綾瀬川紗英。
甘い蜂蜜色の瞳がまだ見ぬ男に対する嫉妬の色を浮かべていた。
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