薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
2ページ/2ページ
『ではそちらに座って下さいな。』
葵は緩慢な動作でお茶をたてていく。
「何故豪炎寺修也が出ないのにサッカーの試合を申し込んだ。」
葵は棗を手に取り、お茶をはいた。
『あら、それを言ったら試合を受けてはくれないでしょう?』
柄杓で湯を茶碗に入れ、残りを釜に戻した。
釜の中の水面に湯が落ちる音が心地良かった。
「狡賢いな、お前は。あのまま豪炎寺修也が出なかったらどうするつもりだ?」
黒いサングラスの奥の瞳が葵を捉える。
『その時は、』
葵は茶筅の動きを止め、棗の右側に茶筅を置いた。
『私がお相手しますよ。』
葵は目を細め、影山の前にお茶を置いた。
影山とお茶
(貴方やっぱり正座もお茶も似合わないわね。)
(私はコーヒー派だ。)
(誰もそんな事聞いてないわ。)
.