薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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おかしい、葵の髪は長かったハズ。
鬼道は混乱した。
暫く悩んでいれば襖が開いた。
案内人の彼女が開けたのではない。
目の前に先程の人物ではなく、葵が立っていた。
『下がって良いわ。』
葵が言うと案内人の彼女は気まずそうに頭を下げ、何処かへ消えた。
『早かったわね、有人。』
葵はそう言って鬼道を部屋に招き入れた。
部屋には葵と鬼道だけで先程の人物は居なかった。
先程の人物が着ようとしていた着物を葵が着ている。
つまり葵が先程の人物だということを無言で示していた。
だけど先程の人物がこの部屋の何処かに隠れていると信じたかった。
「どういう事だ。」
『騙していてごめんなさい。』
葵は謝罪の言葉を口にした。
鬼道のように頭の回転が早い人物なら簡単に分かる。
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