薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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誰だ、こいつを家に入れた奴は。



家に入れたくないタイプだ。



それより総帥って影山さんの事?



やっぱり彼は逃げ出したんだ。



頭で考える事と口から出た言葉は全く違うものだった。



『でも私は恋愛結婚しか認めないわ。』



それに見ず知らずの人間と付き合う気なんてないし、ましてや婚約者が敵だなんて有人や豪炎寺君に合わす顔がない。



「なら僕の事好きになってよ。」



随分と我が儘な神様だ。



神様はみんなの願いを叶えてあげる存在なのに。



『恋愛は好きになろうとして好きになるものじゃないわ。』



取り乱すことなく、いつものように飄々とした態度で返答する。



「なら僕を好きになるよう努力してよ。」



『なら私に気に入られるよう努力すれば?』



ああ言えばこう言う。



葵の冷たい言葉。



アフロディは困ったように悲しそうに笑った。



悲願するような顔...可愛い。



ああ、可愛いじゃないか。



『君、可愛いね。その顔そそられるわ。』








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