薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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「は?」
本日2度目の間抜けな声。
『婚約者、男だから。』
男?
葵も男なのに?
どう考えてもおかしいじゃないか。
「は、だってお前...、向こうは知ってんのか?」
お前が男だって事を、と口にする事なく目で伝える。
『さぁ?でも向こうを勧めてきたのはあの影山さんだからどうだか。』
葵は呆れたように溜め息を吐いた。
「でも鬼道の時は伝えてなかったんだろ?」
鬼道が葵の着替え姿を見てしまい、葵が男だと知った時の記憶はそれほど古くも新しくもない。
『うん、まあそうだね。』
葵は昔を思い出しながら頷いた。
婚約なんてありえない
(彼女が彼だって、)
(彼は知っているのだろうか?)
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