薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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『合宿かぁ...いいなぁ。』
葵は憧憬の籠もった視線を紅茶に向けた。
紅茶に映った自分の顔は歪んでとろけていった。
「茶道部は合宿ないものね。」
夏未自身も合宿など経験したことは無かったが、葵の部活が何かを思い出せば合宿など有り得ないのでその紫水晶の瞳の意味を知った。
夏未の考えは当たっているのだが、半分間違っている。
葵は本当は男なのだから合宿などすれば性別がバレてしまう可能性は高いだろう。
バレてしまうのは構わないのだが、困るのはその後だ。
好奇や軽蔑の視線に耐える自信はない。
誰もが生徒会メンバーや有人のような人じゃないのだ。
『みんなでお泊まり楽しそうだなぁ。』
独り言のつもりがどうやら夏未にも聞こえたらしく。
当然だこの部屋は静かなのだから聞こえて当然なのだ。
「あの、望月会長...、」
『何かな、夏未ちゃん?』
いつものように余裕の対応をする。
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