薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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「ぁ...。」
アフロディは小さく声を漏らし後悔したような顔になり、さっと葵の上から退いた。
葵は体を起こし、淡々と言う。
『私は彼らを信じてる。自分がやらない事を彼らに押し付けてる事くらい分かってる。でも、だからこそ彼らに賭けてみようと思うの。信じれるものがなければ生きて行くには辛すぎるから...。』
葵はすっと立ち上がり、アフロディの傍まで来た。
アフロディは一歩下がった。
カタンとアフロディの背が開いている障子に当たった。
『だから君は君で信じるものを選べばいい。間違っていたならばきっと誰かが教えてくれるよ。』
葵はそういうと満足そうに紫水晶の瞳を細め、微笑んだ。
そしてアフロディの横を通り過ぎ、葵は自室を出た。
人間くさくて人間らしい神様
(迷った時はきっと、)
(誰かが助けてくれるよ。)
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