薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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「...葵、ごめん。」
アフロディは唐突に謝った。
『何に対しての謝罪?今変な顔したから?それとも昨日の事?』
少し悩んでからアフロディは両方と言った。
『謝るなら今まで傷付けた人に謝って。』
葵は淡々とした口調で言った。
それがどこか突き放すような冷たさを感じた。
「怒ってる?」
『うん、怒ってる。』
「ごめん、葵。ごめん...。婚約破棄でいいから、嫌いにならないで...。」
許しを乞う姿は加虐心をくすぐるものだった。
ああ、可愛いじゃないか。
彼自身が婚約破棄を了承するなら許してやってもいいじゃないか。
どうせ私の本命は別なのだから。
頬を打たれるだけで婚約破棄ができるのならば最高じゃないか。
『うん、嫌いにならないでいてあげる。』
葵はそう言って微笑んだ。
しかしやはり痛むものは痛む。
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