薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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「葵だ、葵がいい。」



そう推薦したのは葵の古き良き友人である鬼道で。



皆鬼道の言葉を疑った。



葵は茶道部部長でサッカーなんてそんな運動しているところなど想像出来ず、どちらかと言えば運動部掛け持ちでやっている紗英の方が向いていると思えるからだ。



だが鬼道が選んだのは葵だった。



「どうして望月会長なんだ?鬼道。」



円堂が問う。



「葵は、昔サッカーをやっていた事がある。」



『今も出来るとは限らないよ。』



「最初の帝国と雷門の試合前に俺が蹴ったボールを片手で止めるような奴がか?」



鬼道の言葉にそういえばと何人かが頷く。



「それに本当はあの白と黒のボールを蹴りたくて仕方がないのだろう?」



鬼道のゴーグルの奥の紅い挑発的な瞳と目が合った。



真っ直ぐで迷いのない綺麗な瞳。



有人にこういう目をさせる円堂君はすごいんだと思う。



『そんなに私にサッカーやらせたいなら口説き落としてみせてよ。』



挑発的に葵は笑みを深くした。



「相手は宇宙人だ。実力があれば性別など関係ないだろう?俺にはお前が必要だ、葵。」



何その恋愛的口説き文句みたいなセリフ、何処で覚えてきたのよ、なんて言いたくなったが敢えて口には出さない。









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