狂愛
□狂愛
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『チャンスがあると知らなかったの。奇跡はあるんでしょ?毎日奇跡が起こってるんでしょ?』
「消えて、消えてよ。」
前と同じ事を言う。
消えてと言葉を繰り返し、言い訳なんか聞きたくないと首を振った。
『もう消えられる。お兄ちゃんが気付いたから。お兄ちゃん次第だよ。お兄ちゃんは選べる。でも、今消えたら二度と戻れるか分らないから。』
緋美は言われた通りにいなくなる。
もうすぐ声も聞こえなくなるし、触れることも、姿を見る事すら出来なくなる。
「天国か地獄かを選ぶなら、天国を選ぶよ。生きる事を。さっさと消えて、行って。」
まるで野良犬を追い払うかのような言い草。
とても寂しくなった。
悲しくなった。
喧嘩別れなんてしたくないのに。
『ここが天国だといいのに。』
名残惜しそうに悲しそうな顔でアフロディを見つめる。
「消えて。」
もう一度繰り返す。
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