薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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メキメキと他の木に枝をぶつけながら倒れると、重たそうな音を立てた。
葵は肩で息をして倒れた木に近寄り座った。
これじゃ染岡君と一緒じゃないか。
いや、それよりも酷い。
今更ながら鳥の巣があったら大変だ。
今私がしたことは宇宙人と一緒じゃないか。
破壊して、困らせて、終いには命を奪う。
染岡君なんかより質が悪い。
葵は大きな溜め息を吐く。
「葵だったのか、さっきの音。」
葵が顔を上げれば親友の鬼道がいた。
『ごめん。』
葵は俯いた。
「いや、いい。荒れてるな。お前らしくない。」
私らしくない。
有人の言う通り今の私は私らしくない。
今の私は完全にとっ散らかっちゃってる。
『有人、』
葵は泣きそうな声で言った。
表情は俯いている為分からない。
「葵...?」
いつもと様子が変だ。
『有人はっ、』
きゅっと鬼道の青いマントを掴んで言った。
葵は顔を上げた。
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