薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
2ページ/2ページ








だがそれは本当の意味で心を許せる人間にしか出来ない事で。



小まめなその軽口が葵のホルモンバランスを保っている。



それが鬼道だけに甘えるという結果になってしまった。



葵に想いを寄せる人間にとっては疎ましいだろう。



しかし本当の葵を知らない人間にはそれが幸せなのだろうが、実際の彼...葵のその言動は有り得なくて、受け入れ難い。



だって葵は雷門の生徒会会長で、優美で上流で、大人の余裕があって誰もが憧れる儚げで色っぽい人物なのだから。



感情的で激情家な葵など考えられない。



だから葵はいつも自分が自分でいる為に、失望されないように、苦しんでいるんだ。



それを知る人間が余りにも少ない。



だが葵自身がその身をうち明かす事は暫くはないだろう。



現に彼の母親は葵の性情に批判的だ。



誰もが受け入れてられる訳がない。



分かっていた事だが実の親に批判されると言うのはもの悲しい。



愛されないと同義である。



葵は何よりもそれを恐れてる。








愛されたい



(望みが大き過ぎるのならば、)


(せめて見て欲しい。)








.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ