薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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だがそれは本当の意味で心を許せる人間にしか出来ない事で。
小まめなその軽口が葵のホルモンバランスを保っている。
それが鬼道だけに甘えるという結果になってしまった。
葵に想いを寄せる人間にとっては疎ましいだろう。
しかし本当の葵を知らない人間にはそれが幸せなのだろうが、実際の彼...葵のその言動は有り得なくて、受け入れ難い。
だって葵は雷門の生徒会会長で、優美で上流で、大人の余裕があって誰もが憧れる儚げで色っぽい人物なのだから。
感情的で激情家な葵など考えられない。
だから葵はいつも自分が自分でいる為に、失望されないように、苦しんでいるんだ。
それを知る人間が余りにも少ない。
だが葵自身がその身をうち明かす事は暫くはないだろう。
現に彼の母親は葵の性情に批判的だ。
誰もが受け入れてられる訳がない。
分かっていた事だが実の親に批判されると言うのはもの悲しい。
愛されないと同義である。
葵は何よりもそれを恐れてる。
愛されたい
(望みが大き過ぎるのならば、)
(せめて見て欲しい。)
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