薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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『ごめんね、染岡君大抵いつもはいい人なんだよ。』
葵は苦笑した。
「ううん、気にしないで。」
吹雪の返答に葵は安堵の笑顔を浮かべ、ありがとと呟いた。
『私は望月葵。雷門中の生徒会長よ。よろしくね、吹雪君。』
葵は吹雪に手を差し出した。
「こちらこそよろしくね。」
吹雪も笑みを浮かべて葵の手を握り返した。
「吹雪君、少し時間いいかしら。」
戸惑う吹雪に瞳子監督は自己紹介した。
白恋中のグラウンドに向かう為に階段を降りていく。
『っ!?』
階段を降りる途中、ツルリと片足が滑り、葵はバランスを崩した。
葵は咄嗟に手すりに掴まろうとしたが寒さの所為で反応が遅れ、後7センチの所で届かなかった。
痛みを覚悟した瞬間に背中に軽い衝撃。
葵はゆっくりと首だけ振り返った。
「大丈夫?」
吹雪が葵を支えたのだ。
『ありがと。』
葵は申し訳なさそうにお礼を述べた。
「気を付けて。階段は滑りやすいから。」
然り気無く紳士的だ。
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