薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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秋が呼ぶ声も今の染岡には聞こえない。
聞こえていても無視しているのかもしれない。
「こんなもんじゃ満足できねぇ。もっと楽しませろ!」
向かって来る染岡に吹雪は口角を上げた。
『やっぱり我が儘な子供みたい...。』
葵は小さく呟き、様子を見る。
「エタノールブリザード...。」
回転を加えて蹴られたボールは真っ直ぐに円堂に向かっていく。
エタノールブリザードを止めようと塔子がザ・タワーを壁山がザ・ウォールを繰り出すがそれもってでも止められはしなかった。
やっとの事でコースがズラせた。
瞳子監督が手を叩いて試合を中止させた。
吹雪の雰囲気がまた変わる。
さっきの荒々しい雰囲気とは違う、穏やかな雰囲気。
流行りのスイッチの切り替えと言うやつだろうか。
「吹雪君、イナズマキャラバンへの加入を正式に要請するわ。一緒に戦ってくれるわね。」
瞳子監督は断らない事を前提条件に言った。
最初から本人の気持ちなんて考えてないじゃないか。
それだけ余裕がないと言う事だ。
「いいですよ。」
吹雪はいやと言う事もそういう顔もせずに言った。
染岡が吹雪を睨んでいるのは見なかった事にしよう。
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