薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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みんながみんな直人や有人のようにはなれない。



なれるはずがないのだ。



―――ホントに贅沢だな。天才ゲームメーカーは?



『極力フォローするってさ。』



―――良かったじゃねェか。



『でも油断は出来ない。ライオンの目の前に生肉を置くくらい危険。テルマ&ルイーズみたいに崖からジャンプするようなものだよ。』



―――テルマ&ルイーズ?



携帯の向こうから不思議そうな声が聞こえた。



『二人は親友同士である日ドライブへと繰り出したが、ルイーズがバーで酔っ払ってハーランに強姦されそうになったのをテルマがハーランを銃で殺して逃亡した結末は警察に囲まれ、車に乗ったまま峡谷へダイブする話。』



アカデミー賞受賞した奴...知らない?と葵は言葉を付け加えた。



―――んなもん知るか。とりあえずまぁ、頑張れとしか言いようがないな。



『そうだね。ありがと、直人。話せて良かった。』



葵は久しぶりに力を抜いた気がした。



耳から携帯を離し、通話を切った。



ホントはもっと長電話したかった。








息抜きが欲しい



(いっそのこと、)


(テルマ&ルイーズみたいに崖からジャンプする?)








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