薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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『なんて賢い子なの。こっちが挑発に乗り、進行方向を測定し、落下位置を確認した上でのこの計画...。あの子、なかなか手強いわ...。』
「冷静に分析するな。」
『ナイスツッコミ。』
小柄な少年が姿を消した後にサッカー部の男子生徒がやって来て代わりに謝罪した。
まるで親みたいだ。
そして先程の少年について知った事がいくつかあった。
小柄な少年の名前が木暮と言い、少々どころかかなりのひねくれた性格の持ち主だと言う事。
「木暮は幼い頃親に裏切られたようで...。」
彼はそう言って言葉を濁した。
「親に...、」
ポツリと春菜が呟いた。
親ねぇ...?
私の父親は私の女装に反対していない数少ない人。
母親の方は私の女装には猛反対。
親の権威を振りかざしている。
そんな母を止めるのが父だ。
だが3年前から私の家には私を庇ってくれる父はいない。
海外で仕事をしている。
つまり今家で私を庇ってくれる人はいない。
だからといって海外に行った父親に裏切られたとかそういう責任転嫁をする程私は幼稚ではない。
ただ時々母に連絡して、母の注意を反らして欲しい。
ただそれだけだ。
葵が鬼道を見れば鬼道がちょっと悲しそうに見えた。
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